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「今日も一日が始まるね。サニーくん。」
「そうだね。クラウディーくん。今日は誰の当番だったかな。」
「ええと。確か今日は…。サニーくんだったかな?いや僕だったかな。んんー。ちょっとお待ちを…。」
クラウディーくんは、おもむろに分厚い手帳を取り出しました。
「あぁ、あった、あった。今日は四月の第二日曜日っと。ええと、今日の当番は…。レイニーちゃんだ。僕たちじゃないみたいだね。」
「そうかい。今日はレイニーちゃんか。おや、ところでそのレイニーちゃん
は、どこにいるんだい?」
「そういえば、まだ来てないみたいですね。どうしたのかな?」
クラウディーくんとサニーくんは、それからしばらく待っていましたが、レイニーちゃんは現れません。
「遅いなあ、レイニーちゃん…。寝坊したのかな。」
クラウディーくんは、いてもたってもいられないといった様子で、うろうろうろうろしています。
「ちょっと、手帳を見せてくれるかい?」
サニーくんは、クラウディーくんから手帳を受け取りました。
「どれどれ。ふんふん。なんだ、そういうことか。」
サニーくんは納得したようです。
「どうしたんだい、サニーくん。そんなにうなずいて。」
「今日のところ、よく読んでみなよ。」
「どれどれ。ははあ。『今日は、曇りのち雨。午後になってから雨が降る。夜には晴れるでしょう』か。じゃあ、レイニーちゃんは、午後に来るんだね。」
「そういうこと。」
クラウディーくんの持っているこの手帳には、毎日の天気が書いてあるのです。
空にいるみんなは、この手帳を見て仕事をしています。
「よし。じゃあ、僕は朝のひと仕事が終わったから、今日はゆっくり休むよ。クラウディーくん、あとはよろしく頼むよ。」
「了解です。」
サニーくんは、雲でできたふかふかのベッドに横になりました。
「今日も、朝早かったものだから。ふわあ。眠い。おやすみ。」
それから、クラウディーくんは、僕の住んでいる蒼の森へと移動しました。
「よし、着いたぞ。今日は、曇りで、そのあと雨も降るから、みんな傘を忘れずに持っていってくれ。濡れたら風邪引いちゃうぞ。」
クラウディーくんは、蒼の森の上空から、声をかけました。
クラウディーくんは、森からはずいぶん離れた、はるか上空にいますから、もちろん声は届かないのですが、たまに、上空を飛んでいるカラスやなんかが、その声を聞いていることもあるようです。
その日の午後になって、レイニーちゃんがやってきました。
「お待たせ。こんにちは、クラウディーくん。午後からは私の当番よね。」
「やあ、レイニーちゃん。午後からはレイニーちゃんの担当だよ。よろしくね。」
「ええ、わかったわ。そろそろ時間でしょ。交代するわ。」
「うん。じゃあ、また明日。」
「ええ。また明日。」
クラウディーくんは、次の地域に移動していきました。
続く