かぜのヒーロー https://amzn.to/3rvDy4s
「皆様、本日は遠いところからお越しいただきありがとうございます。各地域代表の皆様ですから、それはたいそうなレースになると思いますが、くれぐれもケガの無いように。ルールは守ってくださいね。もうまもなく始まりますので、参加される方はスタートラインにお集まり下さい。」
今日は、森の住人達が楽しみにしている「風のレース」の日です。
優勝者は「風のヒーロー」になれるのです。
アナウンスが入り、レースに参加する風たちが集まってきました。
「それでは、皆様には地球を一周して、戻ってきてもらいます。それでは始めますよ。位置について、ようい、ドン!」
レースが始まりました。
ものすごい突風が吹きました。
あっという間に風たちは見えなくなってしまいました。
森の住人はレースの行方を見守っています。
「ヒューッ」
しばらくして、闇の風が戻ってきました。
「やったぞ、オレが一番だ。オレがヒーローだ。」
闇の風は自慢げです。
ところが、「君は失格だよ。」
なんと闇の風は失格になってしまいました。
「失格だって?オレが一番に戻ってきたじゃないか。」
闇の風は言いました。
「君がなんと言おうとも失格だよ。ちゃんと太陽が見てたんだ。君はコースを外れてずるしたろう。だから失格なんだよ。」
そうです。
太陽が審判をしていたのです。
太陽はすべてを見ていました。
「そんな…。」闇の風は黙ってしまいました。
その時、遠くの方から一つ、二つと風の姿が見えます。
どうやら戻ってきたようです。
優勝は、森の風でした。
「やった。優勝したんだ。」
森の風はとてもうれしそうです。
森の住人たちは、彼を賛美しました。
「よくやったね。すごいスピードだったよ。」
「いいレースだったよ。おめでとう。」
続く