とべないとり、ぷーちんhttps://amzn.to/3FLRjB9

「バサバサッ、バサバサ」森の木陰で飛び跳ねている一羽の鳥がいました。オカメインコのぷーちんです。体はひまわりのように黄色い毛でおおわれ、ぐりっとした大きな目と小さなくちばしをしています。ぷーちんは自分が、本来は飛ぶ鳥であることに気づいていませんでした。仲間たちが飛んでいる姿を見てはいましたが、それは彼らが特別なんだと、そう思っていたのです。ある時、一羽のずんぐりとしたスズメがぷーちんに話しかけてきました。

「あなたは、空を飛ばないの?」

「空を飛ぶって?」

「そうよ、私たちみたいに大空を飛ばないの?」

「飛ぶって、一体どうやって飛ぶんだい?」

「あなたも鳥だったら持ってるでしょ?」スズメは自慢の羽を広げてみせました。

「私たちには羽が与えられているのよ。空を飛ぶためにね。こうして羽を広げて、バタバタさせると…、ほら、少しずつ浮いてきたでしょ。こんな風にして自由に空を飛び回れるのよ。」スズメはくるくると飛んでみせました。

「どうかしら、自由自在よ。どこにだって行けるわ。あなたも羽を持っていれば飛べるはずだけど。」

「僕は持ってないよ。」

「えっ、あなた、羽を持ってないの?それじゃあ、どうやって移動してるの?まさかずと歩くわけじゃないでしょ?」

「僕はいつも歩いてるよ。そうやって今まで生きてきたんだ。」

「ふうん。それは感心するわね。飛べたらとっても楽なんだけどな。今まで飛ぼうと思ったことはないの?」

「僕が本当は飛べる鳥なんだってこと、君と出会うまで知らなかったから。教えてくれてどうもありがとう。」

「いえ、どういたしまして。でも、少し練習してみましょうよ。ひょっとしたら飛べるかもしれないわ。」それからぷーちんたちは飛ぶ練習をしました。木の上に登り、そこから飛んでみましたが、そのまま地面に激突してしまいました。飛び跳ねることはできるのですが、上手に飛べません。やはり羽を持っていないぷーちんには空は飛べないようです。

「どうやら、あなたは本当に飛べないみたいね。でも、あきらめないで。練習を続けていれば、いつか、羽をもらって、飛べるようになるかもしれないわ。」

そう言い残して、スズメは飛び立っていきました。

ぷーちんはそれから毎日、木に登ったり、石の上から跳んだりして、飛ぶ練習を続けていましたが、一向に飛べる気配はありません。木に登っていると、スズメが再び戻ってきました。

「やあ、頑張ってるわね。少しは飛べるようになったかしら?」

「いや、それが、まだ全然ダメなんだ。」

「あなた、たくさん練習したのね。」ぷーちんは体中が、あざだらけになっていました。

「そんなにあざだらけになって、家の人は心配しないの?」

「家の人って、僕の親のこと?僕は生まれてから今まで、親に会ったことがないんだ。気がついたら、兄弟と暮らしていたんだけど。親のことは何も覚えてないんだよ。」

「そうなの?じゃあ、今は兄弟と暮らしているの?」

「いや、みんなバラバラになって、今は僕一人で暮らしているよ。」

「一人暮らしで、寂しくないの?」

「ずっと一人で生きてきたから、寂しくはないんだ。たまに、親のこと、兄弟のことが心配になることはあるけどね。でも、もう慣れっこだよ。」

スズメはその話を聞いて、胸がいっぱいになりました。飛ぶこともできないのに、一人でたいへんそうだなぁ、なんとかしてあげたいなぁ、力を貸してあげたいなぁ。そう思っていました。スズメは、何かできることはないか考えました。名案が浮かびました。

 

「そうだ。いい考えがあるわ。あなたの両親を探してみたらどうかしら?」

「僕の両親を?でも顔も覚えてないんだよ。どうやって探したらいいの?」

「それはこれから一緒に考えましょう。とりあえず、私の家に来なさいよ。お腹も空いたでしょ?こっちよ。来て。」

スズメの家は、森の中にある一番大きな大木のてっぺんにありました。ぷーちんが、今まで見たことのないような風景がひろがっていました。この森が、こんなに大きくて、こんなにきれいな緑色をしていたなんて。川は澄んだ青色をしています。湖には、きれいな魚がたくさん泳いでいます。空がこんなに広くて青いものだということをぷーちんは知りませんでした。思い起こしてみれば、ぷーちんは足元に気をつけながら歩いていたので、空を見上げたのは、ずいぶん久し振りのことだったのです。

「どうしたの?」スズメが聞きました。

「うん。空がこんなにきれいだったなんて、僕、知らなかったから。」

「もう少し、眺めているといいわ。食事の準備ができたら呼びに来るから。」

「わかった。ありがとう。」

続く