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ボクが目を覚ますと、そこは海の上でした。気づくとボクはクジラに乗っていました。

「どうして私の背中に乗っているの?」

「ボクにもわからないんだ。」

「どこか行きたいところでもあるのかしら?」

「どこかに連れて行ってくれるの?」

「どうしたの?」イルカが聞きました。

「ボク、気づいたらここにいて…。どうやら迷子になっちゃったみたいなんだ。」

「行くところないの?」

「うん。」

「だったら、あの島に行ったらどうかなぁ。」

「あの島?」

「うん。私の友達がたくさんいるところよ。」

「クジラさん、この子を島までおねがいしていいかしら?」

「わかった。しっかりつかまってるんだよ。」

「うん。ありがとう。」

クジラは大きな島に到着しました。緑がたくさんあって、自然に恵まれた島のようです。ボクは砂浜を歩き、森の中に入っていきました。しばらくすると、どこかからかわいい声が聞こえてきました。その時です。「ドサッ。」ボクの頭の上に何かが落ちてきました。

「だめ、動かないで。」

ボクは立ち止まりました。そしてそっと頭の上に手をやりました。それはコトリの巣でした。

「どうもありがとう。もうすこしで巣がこわれるところだったわ。あなたはだあれ?」

「ボク、気づいたらクジラさんの背中に乗ってて、この島まで連れてきてもらったんだ。」

「ふうん。そうなんだ。じゃあ私がこの島を案内してあげるよ。巣を守ってくれたお礼に。」

「ありがとう。助かるよ。」

ボクはコトリさんからこの島のことについて聞きました。人間が住んでいないこと。少ない動物たちが仲よく暮らしていること。自然の王子さまがいること。風の悪魔のこと。

ボクはしばらくコトリさんとおしゃべりをしながら歩いていました。すると、目の前でゾウが草を食べていました。ボクはそっと近づきました。

「こんにちは。」

「……………。」

「こんにちは、ゾウさん。」

「……………。」

どうやら言葉が通じないようです。

「どうして何も言わないんだろう?」

「それはね。」コトリが答えました。

「それは、君がゾウさんのことをこわがっているからだよ。心をひらいて話さないと言葉は通じないよ。ゾウさんは相手の心を見ているんだ。」

ボクはゾウさんに対して心をひらいてみました。

「ごめんよ。ゾウさん。君のことこわがったりして。」

「いや、いいんだよ。こんなに大きいんだ。誰だってはじめはこわがるさ。」

ボクはゾウさんと友達になりました。

またしばらく歩きました。その時です。

「いたいなあ。」どこかから声がします。

「いたいってば。」また声がしました。ボクは足元を見ました。穴があいています。モグラです。モグラが穴をほっているところでした。

「ごめんよ、モグラくん。これからは気をつけるよ。」この島にはいろいろな生き物がいるようです。

コトリとはすっかり仲がよくなりました。その時、遠くのほうから声がしました。

「たすけて。だれかたすけて!」

ボクたちは急いで声のするほうへ行ってみました。すると、オオカミが小さな子グマをつかまえて食べようとしています。ボクはどうしていいかわからず、大きな声でさけびました。

「やめなよ!」

するとオオカミは口にくわえていた子グマをはなしました。オオカミはよだれをたらしながら、ボクたちの方に近づいてきます。

「どうして止めるんだ。もう少しで食べられるところだったのに。お前はだれだ。そんなところで何してる?」

「ボクは人間だよ。行くところがなくなって、この島に連れてきてもらったんだ。君はなんで子グマを食べようとしてたの?お腹がすいてるの?」

「そうだよ。腹ペコなんだ。ちょうどいいところにおいしそうな子グマがいたから、食べようとしてたんだよ。」

「そんなにお腹がすいているんなら、この木の実をあげるよ。おいしいよ。」

オオカミはくんくんと木の実のにおいをかぐと、その場を去っていきました。

「助けてくれてどうもありがとう。お礼をしたいから、家まで案内するよ。」

続く