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「カタンコトン、カタンコトン。」

猫のミューは、粉雪が舞う中、馬車を走らせていました。一昨日から降り続いた大雪で、あたり一面は白銀の世界です。ミューは、帽子やコートの裾に積もった雪を払いながら、鞭をしならせています。

「カタンコトン、カタンコトン。今日は特別寒い日だなあ。」右側の茶色い馬が言いました。

「まったくだわ。寒くて思うように体が動きやしないわ。」左側の白い馬が言いました。

「パチン、パチン。馬さんたち、寒くて凍えそうなのは、僕も同じさ。だけど、急がないと、みんなに迷惑がかかってしまうよ。ほら、背中の雪をほろってあげるから。頑張って走っておくれ。」

 

猫のミューは、馬車と共に、ドレミ公園に向かっていました。十五時に、仲間たちと待ち合わせをしているのです。普段ですと、ここから一時間もすれば着くはずなのですが、この大雪のために、予想以上に時間がかかりそうでした。

(ふう。一体今は何時くらいだろうか。)

ミューは、コートのポケットから懐中時計を取り出しました。時計の針は、十四時三十分を指していました。

(おや、もうこんな時間か。あと三十分くらいしかないな。間に合うだろうか…。)

「パチン、パチン。馬さんたち、少し急いでおくれ。約束の時間がせまっているから。」

馬たちも、鞭で叩かれるものですから、何とかスピードを上げようとしてはみますが、足元の雪が邪魔をして、なかなか思うように進みません。

「少し暗くなってきたな。馬さん、足元はよく見えているかい?」ミューが聞きました。

「そうだな。ちょっと見えにくいな。」右側の茶色い馬が言いました。

「できたら、明かりを灯して欲しいわ。」左側の白い馬が言いました。

ミューはポケットからマッチを取り出すと、立ち上がって馬車の荷台に備え付けてあるランタンに火を入れました。

「ポッ。おお、明るいね。これくらいでどうだい?」

「ええ、周りがよく見えるわ。それに暖かくなったわ。」

「これで安心して走れるよ。」

ランタンの優しい灯りは、道を照らすだけでなく、ミューや馬たちの体も温めてくれました。

 

それからしばらく走っていると、途中で、木陰で休んでいるクマさんと出会いました。

「やあ、クマさん。こんなところで何をしているんだい?」

「ああ、雪がやむのを待っているんだよ。こんな雪の中を歩いていくのは、大変だからね。早くやむといいな。」クマさんは、空を見上げています。

「この辺は、今日一日は雪だと思うよ。天気予報で、そう言っていたんだ。」

「えっ?それは本当かい?」

「うん。間違いないよ。今日の新聞にもそう書いてあるよ。ほら、ここさ。」

ミューは、かばんから新聞を取り出し、クマさんに見せてあげました。

「どれ、『今日は一日中雪が降るでしょう』か…。」クマさんは困った様子です。

「これから、何か用事でもあるのかい?」ミューが聞きました。

「ああ、これからファンタジー駅までいって、今晩の列車に乗りたいんだ。だけど、この天気じゃあ、間に合いそうもないな。」クマさんは頭をかかえました。

「ファンタジー駅まで行きたいのかい?だったら、少し寄り道をするかもしれないけど、この馬車に乗っていくといいよ。」

「この馬車は、ファンタジー駅まで行くのかい?」

「うん。途中ちょっと寄るところがあるけど、夜になる前には駅に着くと思うよ。」

「それはありがたい。助かるよ。」

「じゃあ、扉を開けるから、少し待ってて。」

 

ミューは、馬車から降りると、荷台の後ろに回りこんで、扉を開けました。

「ガチャ。さあ、入って。少し狭いかもしれないけど。」

「ありがとう、助かるよ。」

クマさんが馬車に乗り込むと、みしみしと荷台が音をたてました。

「クマさん、大丈夫かい?出発するよ。」

「ああ、大丈夫だ。」

それから、馬車は再び動き出しました。

「ガタンゴトン、ガタンゴトン。さっきよりすごく重くなっているわ。」

「ガタンゴトン。本当だね。荷台が壊れなければいいけど。」

続く