あたりには青々とした草木が生い茂り、さわやかな花の香りがただよっています。
そんな森の片隅に一輪のタンポポが咲いていました。
「私たちはずっと一緒だよ。」恋人のタンポポ達が言いました。
「俺はこの森で一番になるんだ。」勇気のあるタンポポが言いました。
「私は一番きれいになる。」美しいタンポポが言いました。
「僕、こわいよ。大丈夫かな。」こわがりなタンポポが言いました。
いろんな声が聞こえてきます。
今年もこの季節がやってきました。
今か今かと待ちきれない子、こわくて震えている子、もじもじしている子、遠くのほうを見つめている子、手をつなぎ合っている子。
お母さんタンポポは子供達に言いました。
「みんな準備はできましたか?もう少しでいい風がやってきますからね。そうしたらみんな元気に飛んでいくのですよ。」
続く